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境港市地域おこし協力隊

Author:境港市地域おこし協力隊
 
鳥取県境港市で「地域おこし協力隊」として活動しています。

伝統の特産物 “伯州綿 (はくしゅうめん)” の栽培や商品づくり、販路拡大に取り組み中。

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『”てぬひら”あれこれ』 ~てぬぐいの生地ってこんなんだよ。~

こんにちは!
仲里です。

イベントの情報をお届けいたします。
『 ”てぬひら”あれこれ 』

最近、街中で”てぬぐいひらひら”のポスターやチラシが見られるようになってきました!
いつものスーパーや飲食店、お風呂屋さんなどに張られています。
皆さんにもイベントの存在を知ってもらえているということですね!

これで当日が晴天であれば、言うことなしです。(・∀・)

てぬひらポスター





イベント内容に触れる前にもう少しだけ、手拭いのお話を。
前回はイベントの主役である手拭いの「注染」に関して紹介させて頂きました。
てぬぐいの色付け


今回は手拭い生地に関して、微力ながら、紹介させてください。
手拭いは、絵柄が注目されますが、実は下地である織物にも魅力が詰まっているんですよ。

てぬぐい耳1

皆さんに「てぬぐい」の魅力を知って頂き、
イベント会場では、見るだけでなく、直接「てぬぐい」に触れて楽しんでもらいたいと思います!

てぬぐい耳3





それではしばしのお付き合いを。

タイトルコール!
『手拭いの下地ってこんなんだよ。』 です!

紡績35

「手拭」(てぬぐい)の生地と聞いて、皆さんはどのようなものをイメージするでしょうか?
長方形、薄い生地など、様々な要素を連想されるかもしれません。



その中でも今回は少しマニアックなディテールを紹介いたします!
それは以下の二点です。


・「手拭」生地における「耳」

・「手拭」生地における「織物の組織」



「え?何それ?」ですよね。

写真とイラストを交えて説明いたします。
分かりやすくしたつもりが、分かり難くなってしまったかもしれません。
その点に関しましては是非、温かい目で、ご覧くださいね。

織1


それでは、参ります!
まずは、「境港手拭」の製造をお願いしている工場の様子を見ていきましょう!

マニアックディティールを紹介するためですので、製造工程は「ふーん」という感じで見てください。

まず織機の全体は、こんな感じです。
少し分かり難いですね。

織9



余計なものを省いた状態がこんな感じです。
左の緑色の円筒状のものが、織り上がる前の経糸(たて糸)です。「ビーム」や「男巻」とも呼ばれています。
右の赤い円筒状のものが、織り上がった生地です。
赤い矢印が経糸(たて糸)の進行方向です。

織機3D

(参考程度です。飛ばし読みで構いません。)
1、ビーム(男巻)・・たて糸がたくさん巻かれている。
2、ヘルド・・たて糸の上下を操作する。
3、筬(おさ)・・たて糸に対して、よこ糸を打ち込む。
4、飛(シャトル)・・よこ糸をいれ、左右に飛ばす。
5、出来上がった生地。

織機Sideai (立体2カット)3D反転

これは後ろビームの部分。経糸(たて糸)がたくさん巻かれています。

織6

織4

これは、シャトル部分。緯糸(よこ糸)が飛ばされていきます。

織8


これは、筬(おさ)と呼ばれる部分。たて糸に対して、よこ糸を打ち込んでいきます。

織19

とまあ、通常、織物はこのように出来上がっていきます。
なんとなく全体のイメージは掴んで頂けましたでしょうか?


では、一息つきましょう。
ふぅー。。。。。




それでは、ここからが今回の本題です。



やっとたどりつきました!
「てぬぐい」におけるマニアックディティール!!


マニアックなディティールその①
「てぬぐい」生地における「耳」です。

生地における「耳」とは
よこ方向の端の部分を指します。
実は、デニムパンツの「赤耳」と呼ばれるディティールがこれに当たります。


ここには2種類の「耳」の画像があります。
違いが、判りますでしょうか?

てぬぐいの耳はこれですね。
織11

これは、異なる[耳]です。
織13



どのようにしてこの違いが出てくるのでしょうか?



ズバリ、”織機による、よこ糸の飛ばし方の違い”です。
言い方をかえれば、(シャトル式織機)と(レピア式織機)の違い、とも表現します。
ちょっと分かり難いですね。




イラストで説明するとこんな感じです。

【てぬぐいの耳】(シャトル式織機)
平織イラスト耳2

【異なる耳】(レピア式織機)
平織イラスト 耳レピア

よこ糸の飛ばし方の違いとは、こんな具合です。

【てぬぐいの耳の場合】(シャトル織機)
シャトル動き4
シャトル動き2
シャトル動き3a
シャトル動き1
シャトル動き5
シャトル動き6a

シャトル織機の場合、よこ糸は左右に往復して、織り込まれていきます。
つまり、よこ糸は一定の長さで繋がっているんです!

対して、レピア織機の場合は、よこ糸を一本飛ばすごとに、左右の端は織り上げと同時にカットされているのです。
そのため、シャトル織機のように、よこ糸は織り込まれてはいないのです!


【異なる耳の場合】(レピア織機)
キャリア1
キャリア2
キャリア3
キャリア4
キャリア5
キャリア6



何となくでも、ご理解頂けましたでしょうか?

このシャトル織機でおられる織物には、「てぬぐい」のほかに、ストールやビンテージものの布製品に多く見られます。
皆さんが履いている、デニムの生地はシャトル織機で織られているいることが多いです。
良く私たちが耳にする、「赤耳」というディティールがこれに当たります。
つまり生地の「耳」は、「こだわりの付加価値」として、製品の価格にも反映させることも多いんです。

普段何気なく使っている「てぬぐい」にも、こんな製造背景があったんですね。

以上、生地の「耳」についてでした!







続いて、マニアックなディテールその②
「てぬぐい」生地における「組織」です。

まずは織物とは
織物とは経糸と緯糸の交差による組織し、つくられた布です。
経糸と緯糸の組み合わせにより、様々織物が作られています・
この組み合わせのことを織物の「組織」と表現します。

織物の基本的組織は、3つに大別されています。

・平織り(ひらおり)

・綾織り(あやおり)

・繻子織り(しゅすおり)

この三つのなかで、「てぬぐい」の生地は「平織り」と呼ばれる組織で織られています。
イラストで拡大表現しますと、このような感じになっています。



・平織り(ひらおり)
経糸1本と緯糸1本とが交差をして、組織点を作っている組織。
平織りは「タフタ」ともよばれ、てぬぐい、シャツや帆布、ガーゼなど様々な製品に使われています。
硬さや張りを持たせたい時に利用される「組織」です。

平織イラスト2

・綾織り(あやおり)
経糸3本以上、緯糸3本以上を用いて、組織点が斜め方向に連続し、綾目(斜文線ともいう)を表している組織。
綾織りは「ツイル」ともよばれ、デニムや裏地などに多く使用されています。
平織に比べて、厚みと柔らかさを引き出せる「組織」です。

綾イラスト

・繻子織り(しゅすおり)
経糸5本以上、緯糸5本以上を用いて、組織点が接しないように、一定の間隔で飛んでいる組織。
繻子織りは「サテン」とも呼ばれ、ドレスやネクタイなど、柔らかい光沢のある生地多く使われています。
他の「組織」に比べて、強度は劣りますが、柔らかさと光沢を表現することができる「組織」です。


繻子イラスト

通常「てぬぐい」は、平織という組織で出来上がっています。
織物といっても、たて糸とよこ糸の交わり方を変化させることによって、様々な性質が引き出せるんですね!

以上、通常はあまり気にしないマニアックなディティールの紹介でした!
少しでも「てぬぐい」というものに、興味を持って頂けましたら、幸いです。
長々とお付き合い頂き有難うございました。

是非、みなさんに「てぬぐい」の魅力を知って頂き、イベント会場では、見るだけでなく、直接「てぬぐい」に触れて楽しんで頂きたいと思います!

てぬぐい耳2


次回も、イベントの内容について紹介いたします。
『”てぬひら”あれこれ』   まだまだ続きます!

ではまた!


イベント情報はこちらから!
http://hakusyumen.blog.fc2.com/blog-entry-187.html

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